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Designgeschichten ドイツ発デザインストーリー

歴史ある場所-ベルリン・フンクハウス

ベルリン市は毎年9月に、恒例のベルリン・アートウイークを開催します。これは全世界から集まるコンテンポラリー・アートの、プラットフォームです。3つの見本市のほかに、さまざまな展覧会、パネルディスカッション、そしてもちろんパーティーも開かれ、主要会場以外でもたくさんの催しがあります。その中には、ナレーパ通りにあるベルリン・フンクハウスで行われる展覧会もあります。会場となる建物群は50年代に建てられ、歴史的建造物として保護されています。

かつて戦勝国の間には、イデオロギーの違いがありました。あるラジオ局はイギリスの管理区域に入り、そこから東ドイツに向けて放送をすることは許されなくなりました。このためこのラジオ局は、ナレーパ通りにあった古い工場を改築し、独自の番組を放送するラジオ局を設立したのです。

この場所に関しては多くのことを聞いていたし、写真も見たことがありました。でも通常は一般の人は建物に入れないため、この展覧会は建物の内部を見る良い機会となりました。またこの施設は、市の中心から少し離れた場所にありますが、シュプレー河に直接面しているので、出かけるにはとてもいい場所です。

建物の周りの緑地の一部は荒れていて、近年あまり使われなかったことを物語っています。しかし建物の中に一歩入ると歴史が造り出す魅力があふれ、1950年代の建築史にタイムスリップする思いでした。

限りなく精巧に作られた職人の技が、いたるところに見られます。この時代に特徴的なのは、国産材と南洋材をミックスし、自然石を加えてインテリアデザインの要素にしていることです。

 

Kassenbereich        Bar

エントランスや録音用大ホールの大部分は、それぞれ特徴的なデザインを施した木のパネルが張られ、会計カウンターやバーがあるエントランスホールは、当時のスタイルでデザインされています。この時代の特徴である伸びやかな曲線のデザインも見られます。階段の手すりまでもが、木材を加工して作られています。スタジオにつながる側面の廊下は外光がふんだんに入る設計で、シュプレー河を見渡せるようになっています。

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当時の最高レベルだったのは、デザインだけではありません。この建物は、どの領域でも最高の音響が実現すように作られています。このため、建物群の各領域は、別々の基礎の上に建てられていて、それぞれの壁は独立性を持たせています。このようにして共振を防ぎ、質の高い音響を実現しているのです。このような工夫は成功でした。現在ここの録音スタジオは世界最高レベルと評価され、大手レコード会社やスティング、ブラック・アイド・ピーズなどの世界的に著名なバンドが、ここのスタジオで録音を行っています。

Aufnahmesaal    Saal 2    DSCF5135

これらのスタジオには、将来の計画もあります。今年から新しい投資会社がこの敷地を買い取り、ここに世界最大の録音スタジオを作る計画です。隣接するホールでは、コンサートも行う予定です。以前からここを拠点としていたアーティストやミュージシャンは、引き続きこの場所で活動できるということです。さらには定期的に展覧会を開いて、フンクハウスを文化的拠点として確立する計画です。

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著者紹介

Felix Sandberg

シュトゥットガルト近郊の田舎町育ち。15歳のときヴィジュアル表現の形として写真に目覚める。その後すぐに家具を初めて手作りする。大学時代をイエナで過ごし、その間にミュンヘン・ニューヨークなどにも立ち寄る。ミュンヘンでは特に建築に、そしてニューヨークでは日々デザインに没頭し、物の美しさへの情熱と美的感覚を養う。 その定義づけに関わらず、物の見た目・形そのものに興味があり、建築でも家具でも家電でも、外見こそが重要。その姿かたちから良い感覚が自分の中に沸いたとき、初めてそれが私にとってデザインとなり得る。 経営学を学んだ後、繊維業界でインターンおよび勤務経験あり。繊維商社では仕入れ・および販売部にて従事。今年の初めからは自らの情熱にすべてをささげている。

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