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ドイツで羽ばたく日本人

アロマセラピーに出会い、資格を取得 かわの ゆかり さん

海外生活は、自分で計画して実現させるものとは限りません。家族に伴ってドイツで生活することだってあります。

今回ご紹介するかわのゆかりさんは、ご主人のお仕事の関係でベルリンに住むことになりました。ゆかりさん自身はそれまで日本では出版社で働いていましたが、ベルリンで新たな道を模索することに。

語学学校でのドイツ語の勉強や、美術史を切り口としたツアーコンダクターなどを経て、たどり着いたのはアロマセラピストという仕事。

「まさかアロマセラピストになるなんて自分でも最初はまったく想像していませんでした」
と話すゆかりさん。思いもよらぬ扉が開いたドイツ生活についてうかがいました。

■美術史の知識を活かしてツアコンに

ゆかりさんがベルリンで暮らしはじめたのは2013年11月のこと。医療研究者であるご主人に伴っての渡独でした。
生活が落ち着き始めた頃から語学学校へ通いはじめ、ドイツ語を勉強。タンデムやアパートの隣人にも手伝ってもらいながら会話の勉強をしていました。

ドイツ生活にも慣れてきた2014年の9月。学生時代に美術史を専攻していたゆかりさんは、その経験を活かして、旅行先の情報提供から切符の手配、ホテルの予約など、それぞれの方にあったプランニングを行い、現地ではツアコンをし美術館では作品を解説する旅行プランナー兼ガイドをフリーで始めました。
お客さんは友人を介して口コミで広がり、リピーターも生まれるまでになりました。

■ハイルプラクティカとの出会い

ツアコンで案内したお客さんの中には、オーガニック製品や健康食品、また特殊なアロマオイルを買いたい人もいたそうです。そうしたものの中には処方箋は不要なものの、ドラッグストアでは売っておらず、薬局で取り寄せなければ入手できないものも多くありました。購入する際の通訳を行ううちに、オイルを始めドイツのオーガニック製品の質の高さと奥深さに惹かれていきました。

そんなときに、大病にかかって熱にうなされたことがきっかけで、半身不随状態になるというピンチがおとずれました。2週間寝込んですっかり体力を消耗してしまったゆかりさんは、体力回復に以前から気になっていた「ハイルプラクティカ」に助けを頼みます。

ハイルプラクティカとは、日本語にすれば「治療開業医」とでもなるでしょうか。「自然療法士」という言葉もよく使われているようです。ハイルプラクティカは西洋医学と並びその代替医療として治療を行う職業で、ドイツでは国家資格となっており、ハーブ療法やホメオパシーをはじめとする、自然治療全般が含まれます。

自然療法による効果を感じたゆかりさんはその後、体質改善を目指した根本治療も試すことにしました。
「食べ物や生活習慣の改善指導に加え、ホメオパシーの処方も受けました。カウンセリングを通しメンタルトレーニングも行いました」

その治療を3ヵ月続けたところ、慢性的な疲れが抜け、新陳代謝がよくなって汗をかけるようになったそうです。また、長年悩まされていた生理痛用の鎮痛剤も手放せました。さらに続けて3ヵ月治療すると「感覚が研ぎ澄まされ体の中からエネルギーが湧いてくる」と感じるように。

そんな経験を経て、ますます代替医療に興味が芽生えてゆきました。

プリマヴェーラ社のエッセンシャルオイル

プリマヴェーラ社のエッセンシャルオイル

■プリマヴェーラ社公認アロマセラピスト資格を取得

ハイルプラクティカによる治療の一つに、アロマセラピーがあります。植物の精油を用いた自然療法で、日本ではリラックスやリフレッシュ効果という点から認識されていると思いますが、ドイツでは国家資格を所持したハイルプラクティカによる医療行為の一つとみなされ、病院などで正式な治療法として確立しており、日本にあるようなリラクゼーションに使われるオイルだけでなく、医療に特化した特別なオイルがあります。

ドイツのアロマオイルの品質の高さとその治療方法に感銘を受けたゆかりさんは医療用のアロマオイルを勉強したいと、数々のセミナーに通いはじめました。
経験を積もうと、友人たちや口コミで100人にモニターとしてアロマトリートメント(マッサージ)を行い、次第に「アロマセラピストの資格を取りたい」と思うようになりました。

そして、アロマオイルの代表的メーカーの一つであるプリマヴェーラ社の資格取得コースに参加。このコースの参加者全員が医師や薬剤師、ハイルプラクティカ、アロマセラピストなどの医療関係者でした。
コースでは、製品知識、基礎知識のほか、病院や薬局で治療として実際に使用されている症状別のブレンドオイルの作り方やその使用方法などを習得し、最後に筆記試験と実技試験が行われ、ゆかりさんは見事にパスしたのです。

医療に特化したオイルも使用

医療に特化したオイルも使用

症状や人に合わせた製品を使用

症状や人に合わせた製品を使用

■突然の帰国の知らせ。今後は日独両国で活動を

プリマヴェーラ社公認アロマセラピストとして、ベルリンの自宅をウェルネスサロンにして活動をはじめていた矢先に、ご主人の帰国が決まりました。予想外に早い帰国の知らせでした。

そして今年2017年3月末に日本に帰国。現在は帰国したばかりで慌ただしい毎日ですが、今後は東京を中心にアロマセラピーを行いながら、定期的にドイツで活動することも模索しているところです。

ドイツに渡った当初は、アロマセラピーにまったく興味のなかったゆかりさん。ドイツ滞在は自分で決めたことではありませんでしたが、新たな世界を広げることにつながりました。

「つらい症状で困っている人たちをアロマセラピーで助けたい」
と話すゆかりさんは、アロマトリートメントや吸引、フットバスなどさまざまな方法で施術をしていくそうです。

現在は、東京での活動場所を探しているところ。また出張も可能だそうです。興味のある方はメールで問い合わせてください。
(2018年4月29日追記)
このたび、ゆかりさんのホームページGreen Circle(グリーンサークル)が完成しました。アロマケアにご興味のある方は、以下のホームページをご覧ください。

https://yukari01067.wixsite.com/greencircle

株式会社 グリーンサークル かわの ゆかり

yukari01067@gmail.com

文・写真/ベルリン在住ライター 久保田由希
2002年よりベルリン在住。ドイツ・ベルリンのライフスタイル分野に関する著書多数。主な著書に『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『ベルリンのカフェスタイル』(河出書房新社)、『レトロミックス・ライフ』(グラフィック社)、『歩いてまわる小さなベルリン』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)など。
http://www.kubomaga.com/

著者紹介

久保田 由希

東京都出身。小学6年生のとき、父親の仕事の関係で1年間だけルール地方のボーフムに滞在。ドイツ語がまったくできないにもかかわらず現地の学校に通い、カルチャーショックを受け帰国。大学卒業後、出版社で編集の仕事をしたのち、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいと、2002年にベルリンへ渡り、そのまま在住。書籍や雑誌を通じて、日本にベルリン・ドイツの魅力を伝えている。『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか著書多数。新刊『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)。散歩、写真、ビールが大好き。

Blog : http://www.kubomaga.com

Twitter : https://twitter.com/kubomaga

Facebook : https://www.facebook.com/yuki.kubota.900

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