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ドイツで羽ばたく日本人

ワーホリでライプツィヒへ。ドイツ人とのシェアライフから学ぶ毎日 坂口潮里さん

31歳未満の日本人なら申請できる、ドイツのワーキングホリデー・ビザ(以下ワーホリビザと表記)。最長1年間ドイツに滞在できて働くことも可能です。しかも、手続きは比較的簡単。もし31歳未満で、ドイツを知りたい、ちょっと住んでみたいと思っているのなら、絶対におすすめのビザです。

今回は、ワーホリビザを取得してフリーランスの翻訳・ライターとして活動しながらドイツの暮らしを満喫している、坂口潮里さんにお話しをうかがいました。

ドイツ人女性2人とシェアしているフラットのキッチン

ドイツ人女性2人とシェアしているフラットのキッチン

 

「ヨーロッパが好きなんです」と言う坂口さん。古い建物が今も残る街並みや、人々の優しさ、アンティークが日常に溶けこむ暮らしなどが気に入っているそうです。

中学生のときに3週間の留学プログラムで初めてイギリスに行って以来、大学時代にも再びイギリス留学、そのほかの国へも旅行したりと、ヨーロッパに親しんできました。

 

日本の大学卒業後は、得意の英語を活かして故郷福岡の貿易事務会社に就職。待遇には満足していたものの、時間に追われてプレッシャーを感じる毎日に、「このままでいいのだろうか、将来いろんな国に行ってみたいし……」と、ヨーロッパへの思いが募るようになりました。

友だちのフリマ出店をお手伝い

友だちのフリマ出店をお手伝い

 

運命に導かれるようにライプツィヒへ

坂口さんには、日本語の勉強のために以前日本に滞在していたライプツィヒ在住のドイツ人の友人がいます。その友人を訪ねて2016年9月にライプツィヒへ旅行したところ、歴史のある古くてきれいな街がとっても気に入りました。

「住みたいな」

ポロッとこぼれた一言が、真剣に考えるきっかけになりました。

ちょうどその頃、このYoung Germanyブログにも寄稿しているwasabiさんが発信しているドイツでのワーホリ・フリーランス情報に出合います。

2017年2月には、ライプツィヒの空き部屋情報が友人から届きました。こんなにすべてのタイミングがそろうと、運命を感じそうですね。見えない力に、ライプツィヒへと導かれたのかもしれません。

それからはライプツィヒ行きに向けて一気に準備を進めました。勤務していた貿易会社には辞表を提出。その後にワーホリビザを日本で申請。

ワーホリビザはドイツに行ってからでも申請可能ですが、坂口さんは日本で行いました。書類を提出してから1ヵ月ぐらい待つものと思っていたら、3日後にはビザが下りて「こんなに簡単なんだ」とびっくりしたそうです。

ワーホリビザの取得についてはドイツ大使館のホームページに詳しい説明が載っているので、ぜひそちらをご覧ください。

https://japan.diplo.de/ja-ja/service/wh/957786

今年2018年2月21日には、大阪のドイツ総領事館にて「ワーキングホリデーの日」イベントが開催されます。ワーホリについて情報を入手するチャンスです。

https://japan.diplo.de/ja-ja/aktuelles/-/1302048

 

掃除に社会問題。フラットシェアで知ったドイツ経験

 

そして2017年8月にライプツィヒへ。友人に紹介してもらった女の子2人とのフラットシェア生活が始まりました。

「ライプツィヒは福岡に似ている気がします。人によく話しかけたりしてオープンだし、街がコンパクトにまとまっていて便利。でも郊外に行けば緑が多くて、静かでのんびりしています」と、住んでみてますます気に入ったそうです。

「福岡と似ている」というライプツィヒ。夏の公園にはDJがいた

「福岡と似ている」というライプツィヒ。夏の公園にはDJがいた

 

 

そして、それまで抱いていたドイツ人のイメージはいい意味で裏切られました。

「ドイツ人はもっと堅苦しいかと思っていましたが、若い人たちがみんなオープンなんです。フラットメイトの友人たちとあいさつでハグをしたり、一緒に料理をしたりと楽しいです。住民登録など生活面でもすごく助けてもらっていて、みんな優しいんです」

男性が料理や片づけを率先して行うのも驚きでした。ベジタリアンも多く、ビールと肉料理というイメージも崩れたそうです。

ドイツ人とのフラットシェアを通して、日本との違いも実感しています。

例えば掃除。ドイツ人はきれい好きで知られていますが、フラットメイトの一人もそうなのだとか。共同のフラットではじつは掃除当番があったのですが、坂口さんは入居してからうっかりして掃除をしないままでした。

ある日「ちゃんと掃除してほしい」とフラットメイトから言われてしまいました。あまりにも言い方がストレートだったので驚きましたが、逆に「ちゃんと言ってくれてよかった」と思ったそうです。

そのフラットメイトは掃除の仕方について、シャワーヘッドはこの洗剤とスポンジを使って、床は掃除機をかけてからモップ、など細かくきっちりと教えてくれました。ドイツの家は一般的に清潔ですっきりとしていますが、その裏には定期的な掃除が存在しているのです。

また、社会問題について頻繁に話し合うことも、坂口さんにとって日本では経験しなかったことでした。ドイツでは気軽にお茶をしていても、政治や社会問題がテーマになることは普通。そうした話題が日常生活に根付いているので、ドイツで暮らすと時事問題に敏感になり、何事も自分で考えるようになると思います。

友人を招いての朝食。話題が社会問題になることも

友人を招いての朝食。話題が社会問題になることも

 

フラットメイトが焼いてくれたりんごのパンケーキ

フラットメイトが焼いてくれたりんごのパンケーキ

 

 

 

 

 

フリーランスで好きな場所に住みたい

 

坂口さんの仕事は日英翻訳と執筆です。翻訳は翻訳サイトに登録していて、インターネットを通じて依頼が来ます。日英翻訳ですが、クライアントはアメリカやキプロス、オランダ企業などさまざま。ネットがあれば、基本的にはどの国でも仕事ができるのが強みです。

今後はプログラミングなど、語学とは別の技能も勉強したいとのこと。英語にプラスしてほかのこともできれば、フリーランスとしての活躍の場がいっそう広がることでしょう。

ワーホリ期間終了後はヨーロッパのほかの国に住むことも検討中ですが、ライプツィヒの生活は充実していて、来てみて本当によかったとのこと。

「ワーホリビザを取るまでは、周りから『仕事を辞めてどうするの?』と言われて不安もありました。でも実際に来てみたら、何事もやるしかないから進んでいきます。悩んでいないで、まずは来てみたらいいと思います。ドイツは英語が通じやすいので、外国人も生活しやすいです」

もしもいまの環境を変えたかったり、疑問を感じているのなら、ワーホリはチャンスです。若い時だからこそ、ワーホリのような簡単なビザ申請で外国で暮らせ、見聞を広められます。その経験は将来への投資になります。一度きりの自分の人生、いろいろなことにチャレンジしてみませんか?

坂口潮里さんブログ

http://shiorisomewhere.com/

 

著者紹介

久保田 由希

東京都出身。小学6年生のとき、父親の仕事の関係で1年間だけルール地方のボーフムに滞在。ドイツ語がまったくできないにもかかわらず現地の学校に通い、カルチャーショックを受け帰国。大学卒業後、出版社で編集の仕事をしたのち、フリーライターとなる。ただ単に住んでみたいと、2002年にベルリンへ渡り、そのまま在住。書籍や雑誌を通じて、日本にベルリン・ドイツの魅力を伝えている。『ベルリンの大人の部屋』(辰巳出版)、『歩いてまわる小さなベルリン』『心がラクになる ドイツのシンプル家事』(大和書房)、『かわいいドイツに、会いに行く』(清流出版)、『きらめくドイツ クリスマスマーケットの旅』(マイナビ出版)ほか著書多数。新刊『ドイツ人が教えてくれたストレスを溜めない生き方』(産業編集センター)。散歩、写真、ビールが大好き。

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