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「アイスシュトックシーセン」って何? 冬に楽しむ氷上のグループアクティビティー

連載「アクティブ ドイツ!」<17>

年末年始、家族・親戚と集ったり、仲間や職場のメンバーとの宴に盛り上がったり。冬のドイツでは、そんな時のアクティビティーのひとつに「アイスシュトックシーセン(Eisstockschießen)」があります。アイスシュトックシーセンは、同じく氷上のスポーツのカーリングと並べて説明されることが多いのですが、そもそもカーリングをプレイできる機会はレア。どんなものなのかいまいちつかめないまま、12人中2人以外はアイスシュトックシーセン未経験というグループで、11月下旬〜翌年1月下旬の冬季限定で設置されるデュッセルドルフのアイスリンクを訪れました。

|カーリングというよりボーリング的?

アイスシュトックシーセンのカーリングとの大きな違いは、ブラシのあり・なし。アイスシュトックシーセンではブラシを用いません。またカーリングのストーンは初めから氷上にありそれを押し出して滑らせるのに対し、アイスシュトックシーセンでは、アイスシュトック(あるいはシュトック、Eisstock/Stock)のグリップを持ち投げ入れます。ただし重さがあるため本当に投げるのではなく、ボーリングの玉のようなイメージで下から投げ入れ滑らせるイメージです。

チーム対戦用に色分けされたシュトック。グリップ部分を持って投げ入れる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

チーム対戦用に色分けされたシュトック。グリップ部分を持って投げ入れる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

同会場のアイスシュトックシーセンで用意されていたシュトックは、レッドとブルーの2色。チームで対戦する際に必要な色分けです。さらに、滑りやすいシュトック・滑走力を抑えたシュトックと、接地面の質が異なる2種類がありました。

この日のアイスリンクは少し解け気味。屋外のアクティビティーなのであまり寒くないのはありがたかったものの、会場スタッフによれば「通常よりもシュトックが滑りやすいコンディション」ということでした。投げるパワーがどうしても過多になってしまいがちなわたしは、滑走力を抑えたシュトックを選んで投げるようにしました。

12人中2人以外はアイスシュトックシーセン未経験。プレイ前にルールなど説明を聞く Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

12人中2人以外はアイスシュトックシーセン未経験。プレイ前にルールなど説明を聞く Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

|ギャラリーに囲まれてレッツ・プレイ

わたしたちは4人ずつ3チームを編成して対戦にチャレンジ。ポイントの仕組みを短時間で把握するのはなかなか難しく皆100%理解できていませんでしたが、大丈夫。得点表を手にしたスタッフがカウントしてくれました。

ルールとして押さえておきたいポイントは、ダウベ(Daube)と呼ばれるターゲットにシュトックをできるだけ近づけ停止させること。ダウベは、フィールドの先に配された枠内の中心に置かれています。その際、他チームのシュトックを枠外へ押し出してもいいし、投げたシュトックをダウべに当てて自チームのシュトックに近づけるのもよし。チームワークを駆使してポイントを稼いでいきます。

画像右側より投げ入れられたシュトックをダウべにできるだけ近づけ停止させポイントを稼ぐ。この場合、ブルーは枠内(グリーン)に留まっているレッドのシュトックを押しのけるかダウべにより近づくかでポイントを獲得できる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

画像右側より投げ入れられたシュトックをダウべにできるだけ近づけ停止させポイントを稼ぐ。この場合、ブルーは枠内(グリーン)に留まっているレッドのシュトックを押しのけるかダウべにより近づくかでポイントを獲得できる Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

わたしは会場のスタッフから「うまい!」とほめられて上機嫌になりつつ、快投。ボーリングに馴染みがある日本人にとっては、意外とすんなりコツをつかめるのかもしれません。試合運びはいたってスムーズで、およそ1時間ほどのプレイでわたしのチームが優勝しました!

背後のギャラリーにまで見守られながらシュトックを投げ入れる筆者。投げ入れる際の動きはボーリングの要領 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

背後のギャラリーにまで見守られながらシュトックを投げ入れる筆者。投げ入れる際の動きはボーリングの要領 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

アイスシュトックシーセンのフィールドは、カーリングに比べこぢんまりとしたサイズ。スケートリンクの隅に設置された同会場のフィールドは、ちょうどレストランの屋外席が沿うようにレイアウトされていました。ということはつまり、わたしたちのプレイを“観戦”するギャラリーもたくさん。おまけに同時間帯にプレイしていたのはわたしたちグループだけとあって、興味津々で見つめる人々の視線の中、プレイを楽しんだのでした。

著者紹介

シュルテ柄沢 亜希

Aki SCHULTE-KARASAWA ● 1982年生まれ、ドイツ・ドルトムント在住。フリージャーナリスト。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。好きなものは、ビール、チーズ、タマゴ――ワイン、日本酒、ウイスキーも大好き。ランニング、ロードバイクライドにてカロリーを相殺する日々。ブログ「ドイツのにほんじん」に日記をつけ、産経デジタル「Cyclist」、三栄書房「GO OUT」などで執筆中。

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