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空の上でも自然体でいこう 子連れ帰省にドイツ的サービスの「ルフトハンザ」

連載「ハローBaby ~子育てABC」<11>

年末年始に日本へ飛ぶ際に初めて、子連れでのルフトハンザフライトを経験しました。また今回は、フランクフルト〜羽田往復便。我が家はドルトムント在住のため、ふだんはクルマで片道1時間弱でアクセスできるデュッセルドルフ空港を利用、さらに日系航空会社を利用しているのでちょっと新鮮。どんな違いがあったのか、旅心地はどうだったのかなどを紹介します。

|ファミリーチェックインカウンターで悠々

デュッセルドルフ、フランクフルトのどちらの場合も日本直行便あり。自分だけでもストレスなのに子連れ旅でのトランジットってあまり考えたくないので、これはありがたい点ですね。フランクフルト空港を利用する際の行程の違いとしては、空港に併設されている長期旅行者向けのホリデーパーキングまで家からクルマで片道2時間半かかることでしょうか。

フランクフルト空港では、機械式チェックインをしてからラゲッジドロップオフカウンターへ。するとカウンターのスタッフが、「後ろにお子さま連れカウンターがありますよ」とにっこり。振り向くと、通常の対面式チェックインカウンターに並んでファミリーチェックインカウンターが4つ設置されていました。

通常の対面式チェックインカウンターに並ぶ4つのファミリーチェックインカウンター Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

通常の対面式チェックインカウンターに並ぶ4つのファミリーチェックインカウンター Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ファミリーチェックインカウンターは、7歳までの子供を連れているグループが利用できます。これは、デュッセルドルフ空港の日系航空会社カウンターにはなかったサービス。ゆったり楽々、いいですね。おまけにカウンター前には計器が並んだ操縦席風の台とそれに続くステップが置かれていて、わたしたちがスタッフとやりとりをしている間に息子が退屈せずに待っていられました。

ファミリーチェックインカウンターに置かれた操縦席風の台とそれに続くステップ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ファミリーチェックインカウンターに置かれた操縦席風の台とそれに続くステップ Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

その他フランクフルト空港の保安検査場には、子連れが利用できるレーンが用意されていて快適。また空港内搭乗エリアにいくつかあるシュピールプラッツ(遊び場)は、もう少し息子が大きくなったら重宝しそうです。ルフトハンザの空港ラウンジもちょっと覗いてみたところ、グミやフルーツを揃えた子供のが喜びそうなコーナーや高級感のあるおむつ交換台などがありました。

フランクフルト空港の搭乗エリアにあるシュピールプラッツ(遊び場)。もう少し息子が大きくなったら重宝しそう Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

フランクフルト空港の搭乗エリアにあるシュピールプラッツ(遊び場)。もう少し息子が大きくなったら重宝しそう Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

|ベビーベッドは体重14kgまで

機内設備で特筆すべきは、ベビーベッドでしょう。ルフトハンザのベビーベッドは、体重14kg以下、身長83cm以下の赤ちゃんが利用できます。あたまの向きは、荷物の落下の可能性があるためオーバーヘッドコンパートメントとは反対向きに設置。まっさらな専用綿シーツと、ピロー・ブランケットをセットしてくれます。さらにあたま部分には取り付けるカバーは、明るさの調整が難しい機内でありがたい機能です。

ルフトハンザのベビーベッドは、体重14kg以下、身長83cm以下の赤ちゃん向け Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ルフトハンザのベビーベッドは、体重14kg以下、身長83cm以下の赤ちゃん向け Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ベッドのフレームやそれを支える2本のアームは、とても頑丈なつくりです。そんなつもりはなかったものの、身をもって知ることに――座席前に置いたものを取ろうとかがんだ際に、頭を思い切りヒット。凄まじい痛みでした…。

比較として例えば全日空では体重10kgまで。現在9kg台の息子を寝かせようと、今回の旅の1カ月半前の全日空フライトで試みましたが、体重はセーフでもベッドの空間が小さすぎて息子は大泣き、完全にアウトでした。ルフトハンザだった今回は小1時間だけでも寝かせることができて助かりました。

赤ちゃんが座席(膝上)にいる時は、大人のベルトに連結可能な補助ベルトを使用します。わたしが立った際にベルトを装着したままにしてみましたが、特に違和感なく座っていました。(※)

※乳幼児(0~2歳)は同伴の大人の膝上に座る必要があります。

|ベビーミールはレトルト+バナナ

それなりに楽しみにしていたのに実際は食事どころでなかった往路でうっかり大忘れしたのが、ベビーミール。着陸後に実家に到着して息子を寝かせ…そこでようやく気がついたのです。あまりにも忘れていて、笑ってしまいました。

ポジティブに考えるのであれば、ルフトハンザがいかにわたしたち家族の空間を尊重してくれていたかということ。確かに日本の気を遣い、隙のないサービスは素晴らしいですが、時に“過多”なことがあります。様子が読めない子連れ旅では特に、そっとしておいてほしい時もありますしね。声をかければ、必要な時に必要なサービスを得られるというのは、それはそれでとてもドイツらしいと感じました。

往路で学習したので、復路では食事を与えたい1時間前にお願いしておきました。すると時間どおり、スムーズに提供されました。ところが提供された内容を見てまた笑いそうに…完全にレトルト! 瓶が2本、それとバナナが1本。うーん、これならば息子好みの食事を持参したほうが良さそうです。

今回ルフトハンザで提供されたベビーミール。瓶が2本、それとバナナが1本 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

今回ルフトハンザで提供されたベビーミール。瓶が2本、それとバナナが1本 Photo: Aki SCHULTE-KARASAWA

ちなみに全日空では、レトルトの小瓶やバナナに加えて、大人のメインディッシュと同じサイズのトマト料理、アプフェルムス(リンゴ煮)が提供されました。食事面では、全日空が圧倒的に“勝ち”です。

子連れでの飛行機旅。どのエアラインを選んでも、昼夜どのタイミングを選んでも一長一短があると思います。我が家では、息子がベビーベッドを使うことができ、自然体でいられるサービスを体験できたルフトハンザがわたしたちの当面のお気に入りになりそうです。

著者紹介

シュルテ柄沢 亜希

Aki SCHULTE-KARASAWA ● 1982年生まれ、ドイツ・ドルトムント在住。フリージャーナリスト。執筆ジャンルは自転車・アウトドアアクティビティ、スポーツ、旅、食、アート、ライフスタイルなど文化全般。幼少期の5年間をハンブルクで過ごしたことがアイデンティティのベースにある。好きなものは、ビール、チーズ、タマゴ――ワイン、日本酒、ウイスキーも大好き。ランニング、ロードバイクライドにてカロリーを相殺する日々。ブログ「ドイツのにほんじん」に日記をつけ、産経デジタル「Cyclist」、三栄書房「GO OUT」などで執筆中。

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