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ドイツのカルト人気クリスマス映画!、とロケ地モーリッツブルク城

今年はドイツに・で旅行に行けない!とお嘆きの皆様!
ドイツ各地がロケ地の映画を見て、旅行気分を味わってみるのはいかがでしょう?

映画と旅が好きなので、ロケ地巡りも大好き。
年末年始にかけて、いくつか大好きな映画&ロケ地をご紹介したいと思います。
まずは第一弾、ドイツ定番のクリスマス映画といえばこれ!

「Drei Haselnüsse für Aschenbrödel 灰かぶりのための3個のハシバミの実」


© MDR/WDR/DRA
1973年に、東ドイツ国営スタジオDEFAがチェコスロバキアと共作したいわゆる「シンデレラ」です。
1973年にチェコ、1974年に東ドイツ、翌年に西ドイツの映画で上映されました。
そして、舞台となっているお城は、ドレスデン近郊、四方を湖に囲まれた優美なバロック宮殿、モーリッツブルク城!

© Franco Cogoli

16世紀の狩猟城を、18世紀にザクセン王アウグスト強王が改装。全てが左右対称という現在の形になりました。アウグスト強王は、ドレスデンの美しいバロックの街並みや、マイセン陶磁器を作らせたことでも知られる王様ですが、美への執着はちょっと狂気じみていて、数多くの伝説を持つ人物でもあります。

モーリッツブルク城は、夏の夕暮れ時に水面に映る姿もそれは美しいのですが、雪景色も格別。周囲は野生の鹿や猪が生息する自然保護地区で、どこまでも続く白銀の世界に、ポッカリと浮かび上がるお城が何とも幻想的…… 
クリスマス映画の舞台にぴったりです!
毎年冬にはこの映画に関連した特別展が開催され、オリジナルのコスチュームや舞踏会のシーンを再現した展示などがも。今年はコロナ禍で展示は休止していますが、お城は雪景色が美しいので、冬がおすすめです!(行きづらくはありますが、馬車もあり!)

© Gabriele Hilsky
さて、この東独版シンデレラですが、50年近く経ったいまも、クリスマス前のアドベントの時期になるとドイツのテレビで10回以上は放映があるという大人気映画なんです。
今年はなんと19回も放映が!ほぼ毎日どこかのチャンネルでやっている計算です。凄すぎる。
しかも、この映画の人気は旧東ドイツや熟年層だけにとどまらず、西ドイツ、ゲイシーンでもカルト人気を誇る作品なんです!
この時期になるとグッズも色々出てきて、お店に並んでいます。
その魅力は一体どこにあるのか?!
ちょっと考えてみたいと思います。


© MDR/WDR/DRA

何と言っても、一番の魅力は、ガールパワー!

1970年代という時代なのか、女性の社会進出を推進していた東ドイツだからなのか?
ディズニーのシンデレラだと、継母と義理の姉妹に虐げられる健気なシンデレラが、その美しい心を見初められて魔法使いに助けてもらって、お城の舞踏会に行って王子に見初められます。
しかし、こちらの灰かぶりは「亡くなったお父さんに男の子のように育てられた」という設定。かぼちゃの馬車に乗らず、白馬の王子様も待たず、自ら白馬にまたがって森に狩りに行くんです!ステキー!

王子との初めての出会いは、
王子が狩りをしているところに雪玉をぶつけるというもの。
次の出会いは、男装して一緒に狩り。
お城の舞踏会で王子に「もう好きだって叫びたい!結婚したい!」と熱烈にプロポーズされた時のお返事は、
「花嫁の意思を聞くのを忘れてない?」と。
お姫様と王子様は幸せに暮らしましたとさ的なハッピーエンドで終わるのが残念なくらい(?)ですが、そこはこの映画らしくラストシーンの2人が象徴的なので……ぜひ、映画でご覧になってみてください。

そういえば、継母も「通常は男性である」農場主を、女だてらにやっていて、何十人もの働き手を抱えている、という設定ですね。
王夫妻も妻の方が頭が切れ、手綱をしっかり握っている感じがします!


© MDR/WDR/DRA

魅力その2は、ド派手&ださカワイイ衣装

中世風の衣装ですが、灰かぶりはマタギ風毛足の長い毛皮のベストを常時着用。
さらに、願いを叶えてくれる3つのハシバミの実で、最初に願うのが狩猟用の服なんですが(ドレスじゃありません!)、右足がどんぐり柄のタイツ……!(上の写真を見てみてください〜)
王子と王子の学友たちのカボチャパンツ&タイツもさることながら、王様夫妻の衣装と巨大な帽子もすごい。一番注目なのは、継母がお城での舞踏会用に準備した巨大な帽子です。東京オリンピックのあの「かぶる傘」に似てるような?

私がこの映画に初めて出会ったのは、10年ほど前だったでしょうか。
クリスマスの過ごし方について話をしていた時、「この映画を見ないとクリスマスが来ないよねー」と言われ、そこにいた全員(男子4名)がいきなり映画のメロディをハミングし出したのです!!!
何それ知らない!と言ったら、DVDを貸してくれたのですが、その友達曰く、ゲイにもすごく人気だから!と。真偽の程はわかりませんが、QUEER.DEに、
なぜ”灰かぶり”が、こんなにゲイなのか」というちょっと強引ながら、いろんな要素をあげて解説する記事がありました。
ご興味ある方は、上記のリンクから全文を読んでいただけます> 

セクシーで派手な衣装もさることながら、王子は何をするにも学友(悪友)2人と一緒で、雪の中で転げ回って楽しんでいたり、パパ王も窓から息子の友達を見下ろして悩ましげな顔をしていたり。そもそも、灰かぶりが2度目に男として王子に会った時、狩りの賞品とはいえ、王子から指輪を贈られたりもしています♡

そんなところも、一味違って楽しめる、カルト人気が継続する理由の一つなのかもしれません。

さて、ドイツ国内での上映ですが、今年は以下:
アドベントの週末、シュトレン&クッキーのコーヒータイムの合間に見るのがおすすめです。東部ドイツザクセンの知られざる美城、モーリッツブルク城にもぜひ足を運んでみてくださいね〜

11月29日 ARD 14:03〜
12月6日 MDR 17:25〜 
12月13日 WDR 13:20〜 
12月20日 BR 12:05〜 ONE 14:15〜 NDR 15:05〜
12月24日 ARD 12:15〜  NDR 16:05〜 ONE 20:15 〜
WDR 20:15 〜 SWR 22:30 〜 RBB 23:15〜
12月25日 Das Erste – ARD 11:15 〜 NDR 20:15〜 MDR 16:15 〜
12月26日 ONE 16:40 〜
12月27日 KIKA 12:00〜
1月1日 RBB 16:30 〜
1月6日 BR 08:05〜

 

著者紹介

河内 秀子

東京都出身。2000年からベルリン在住。2003年、ベルリン美術大学在学中からライター、コーディネーターとして活動。雑誌『Pen』『derdiedas 』などでもベルリンやドイツの情報を発信させて頂いています。趣味は漫画と東ドイツとフォークが刺さったケーキの写真収集、食べ歩き。蚤の市やマンホール、コンクリ建築も大好物。Twitterで『#日々是独日』ドイツの風景を1日1枚、アップしています。@berlinbau

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