【今週のドイツ語】der Schalk im Nacken
der Schalk im Nacken
デア シャルク イム ナッケン
Schalkは、「いたずら者」などと訳されます。Nackenは「首筋、うなじ」のことです。直訳すると「いたずら者が首(の後ろ)にいる」という意味です。
この慣用句の起源は中世にさかのぼり、時代とともに何度か意味が変化してきました。
Schalkはラテン語の scalcius (裸足)に由来します。
16世紀頃、scalawagという言葉は、靴を履いていない農奴、使用人、貧しい農場労働者を意味しており、こうした人々は悪魔と 結託しているのではないかと疑われていたそうです。その後時の流れとともに言葉の意味は変わり、悪意を持って動く邪悪な人、ならず者を指す言葉としてSchalkという言葉を使うようになりました。
その後18世紀になると、意味が再び変化し、他人をからかう嘲笑的で狡猾ないたずら者を指すようになりました。
当時の人々は、自分の肩や首筋に、悪魔や妖怪が憑依していると考えていました。(日本語で言うところの背後霊でしょうか!?)この「いたずら者」の妖怪は、時におかしな考えや悪知恵、意味のないことをささやくことで人を誘惑し、悪事を働くように仕向けたのです。
今でもその名残か、例えば何か良い決断や悪い決断をするときに、小さな天使と悪魔がそれぞれ肩の上に座って囁いているというイラストなどを見たことがあるのではないでしょうか。
こうしてSchalkの持つ「邪悪な」イメージが少しずつ軽くなって行き、現在、Schalk im Nacken 「いたずら者が首にいる」という時には、人を嘲笑ったり意地悪をしたりする人を指すわけではなく、よく冗談を言う人やひょうきんな人、ユーモアのセンスがある人などのことを表しています。
Ihm sitzt der Schalk im Nacken!
Du hast den Schalk im Nacken!
【今週のドイツ語】
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