カーテンなしの相部屋。切迫早産で入院生活 in ドイツ

世界中がコロナのニュースでもちきりになっていた頃、私はドイツで約3週間ほど入院していました。理由は、次男を妊娠中の切迫早産。幸い現在とても元気な息子たちですが、長男は予定日より6週間、次男は3週間早く産まれてきました。ドイツで初めての長期の入院。日本と違うことも多く、今思えばとても濃い3週間でした。今回は私がドイツの小さな街にある病院で体験した、切迫早産の入院生活を振り返ります。
妊婦健診からそのまま病院、入院へ
妊娠30週目、村のいつもの婦人科へ。内診台に乗り診てもらうと、なにか・・・いつもと少し様子の違う先生・・・。「子宮口が柔らか過ぎる、子宮頸管も短か過ぎる。出産時は〇〇病院に行く予定だったよね。今すぐそこへ行った方がいい。」(※子宮口が柔らかく子宮頸管が短くなることは、出産が近づいているサインのひとつ)「え・・・。はい!」不安な思いを抱えながら、先生に言われるがまま一度家に寄り、適当に着替えや充電器をカバンに詰め込みすぐに病院へ向かうことに。そしてそのまま突然の入院生活が始まりました。
点滴
入院が決まってすぐに始まったのが子宮の収縮を抑えるための点滴でした。ドイツ語では子宮収縮抑制剤のことをWehenhemmer(ヴェーネンヘマー)やTokolytikum(トコリュティクム)と呼ぶそう。点滴が始まるとすぐに動悸、ほてり、少し手が震えるといった副作用を感じました。

副作用は辛いけど、点滴をしている間はお腹の張りが落ち着き、少し安心・・・。ドイツでは陣痛抑制剤の使用は48時間のみの使用を推奨しているらしく、先生から「子宮収縮抑制剤を使うのは48時間。とりあえず48時間後に点滴をストップしてから様子を見よう」という説明を受けました。
そして二日後、点滴を止め検査をすると明らかに少しずつ陣痛が始まっていて、自分でもまたお腹が張っているのがわかります。「もし可能であればできる限りこの点滴を続けたいです。お願いします。」と、婦人科長に懇願。翌日、子宮抑制剤を継続して使うことを許してくれました。これは先生によって判断がとても分かれたと思うのであの時許可してくれた先生にはとても感謝しています。「でも使用するのは長くて34週に入るまで、34週に入ったら点滴は止めて錠剤に切り替えるからね」と言われました。
エコノミークラス症候群防止
日本との違いを少し感じたのは、入院中誰にも「安静にしているように」言われてなかったこと。入院中、同じように切迫早産で入院している方のブログやSNSを読み漁っていた私は、「切迫早産=安静にしておかなければいけない」というイメージがあり、自主的にベットにいるようにしていました。でも、一日2回のCTG(Cardiotokographie/ 胎児の心拍数や子宮の収縮をモニターする検査)のために点滴をコロコロと転がしながら別の階にある検査室に移動したり、病院の中庭で家族と面会することもできました。
そしてもう一つ違いを感じたのは、毎日18時になると看護師さんが部屋に来て、エコノミークラス症候群(血栓防止)の為の皮下注射を打つこと。太ももにブスッと刺すのですが、基本的にすぐに終わります。でも・・・一人だけ・・・なぜか毎回すごく痛い看護師さんがいました・・・・。いつもフレンドリーに話しかけてくれてとても感じのいい看護師さんなのですが、彼女が打つときだとてつもなく痛いので、毎日18時前になると「今日はどうかどうかあの人じゃありませんように・・・・」と心の中で祈っていました。彼女が部屋に、ハロ〜♪と入ってきた時の絶望感は忘れません。

仕切りのない部屋
私約3週間、ずっと2人部屋に入院していました。前回の婦人科に引き続き、もちろん仕切りのカーテンはありません。笑 ドイツは出産後、自然分娩の場合は2-3日で退院します。私が覚えている限りでは、入院中4人のママさんたちと相部屋になりました。今でもとても印象に残っているのは、「6人目の子どもなの」と教えてくれた女性。家族とどこかの言語を話していたのでドイツ出身の方ではないのかもしれません。
彼女は、出産が終わり新生児と夕方頃病室に戻ってくると、数時間後に携帯を取り出し、なかなかの音量でアクション映画を見始めました。時には授乳しながら、車か何かが爆発する音、誰かの悲鳴が病室に響き渡ります。出産の数時間後に、アクション映画を大音量で見るママがいるということに衝撃を受けたのを覚えています。笑 彼女も2-3日後、新生児と元気に退院していきました。

病院食
3週間の入院生活で大変だったことの一つが病院食。「ドイツ 病院食」で検索してもらえばわかると思いますが(写真を撮っておけば良かった・・・)、ドイツの病院食はとってもシンプル。私の場合は、1週間分の献立が渡され、希望を出すことができました。
・朝と夕飯分のパンの種類
・コーヒーか紅茶か
・パンにつけるもの(ジャム・チョコ・バター)
・昼食メニューを3種類 (肉・魚・ベジタリアン)の中から選ぶ
そう、昼食は温かくて美味しいものを食べることができますが、朝食と夕飯は冷たいパンと何か、例えばヨーグルト・ハム・チーズのみ。2-3日なら平気ですが、日本人の私にとって3週間このメニューは流石に辛い。夫がご飯をタッパーにぎっしり詰めて目玉焼きやふりかけを添えて持ってきてくれたり、日本人のお友達がお弁当を作って持ってきてくれて、本当にありがたくて涙目になりながら味わいました。今後、日本でどんな病院食が出てもありがたく食べることができる自信があります。笑
待ちに待った34週
毎日ノートにカウントダウンを書き、やっと待ちにまった34週に入ることができました。予定通り点滴は終了。点滴の代わりとなる錠剤を処方してもらい、久しぶりに家に帰ることができました。そしてその翌日破水。結局家に帰って24時間後にはまた病院に戻り、そのまま出産となりました。予定日より3週間も早い出産となってしまいましたが、34週までなんとかお腹にいてくれた次男には本当に感謝です。