種類の多さは世界一!ドイツパンの世界①ハード系


ドイツは世界で一番パンの種類が多い国。
その数は小型パンに大型パン、地域特有のパンを含めるとなんと3000種類にものぼるといわれています。
これは登録・申請されている数なので、実際にはもっと多いかもしれません。
一生かかっても食べきれないほどのパンがあるなんて、すごいですよね。
嬉しい反面、ちょっと悔しさを感じてしまう私は食い意地が張りすぎなのかもしれませんが、それくらい、ドイツ生活における幸福度のうち、パンが占める割合の大きさを実感しています。
パン屋さんに並ぶたくさんの種類のパンを見ると自動的にテンションがアップ。
種類がありすぎて迷ってしまい、いまだに注文する時はわたわたしてしまいます。
ドイツパンの特徴 酸っぱいパンも甘いパンも豊富

ドイツパンはとにかく種類が多いので特徴も様々ですが、一般的には「酸っぱい」、「固い」というイメージが強いのではないでしょうか。
ドイツパンが酸っぱく感じられるのは、小麦だけでなくライ麦が使われることが多いから。
ライ麦パンの発酵には一般的にライ麦から作られたサワー種が使われるため、独特の香りと酸味が特徴です。

ドイツでは酸味のある固いパンばかりでなく、小麦とイーストで作る柔らかくて甘みのあるパンも作られています。
デニッシュや揚げパンなど菓子パンの種類も豊富。
クリスマスに食べられるシュトレンもパンの1種なんですよ。
そんな多種多様なドイツパンの世界を、少しずつお伝えしていきたいと思います。
まずはドイツパンを代表する、ハード系のパンからいってみましょう。
ハード系ドイツパン:ライ麦と小麦の割合による選び方

ドイツらしいどっしりとしたパンを食べたいけれど、種類が多すぎてどれを選んでいいのか分からない・・・
そんな時はライ麦と小麦の割合を参考にしてみるといいかもしれません。
ライ麦の割合が少ない順に、以下の5つに分類されます。
- ヴァイツェンブロートWeizenbrot:小麦を90%以上使用したパン
見た目が白っぽいパンが多くWeissbrot(白パン)とも呼ばれます。
トースト用のパンやフランスのバゲット、イタリアのチャバタなども含まれます。
ライ麦パンに比べると柔らかく日持ちがしないのが残念ですが、朝にいただく焼き立てはパリッと香ばしくて最高です。

- ヴァイツェンミッシュブロートWeizenmischbrot:ライ麦より小麦の割合(50~89%)が多いパン
ミッシュブロートMischbrot:同量の小麦とライ麦をミックスしたパン。固すぎず柔らかすぎず、サワー種特有の酸味も強すぎないので、ライ麦パンの入門編におすすめ。
- ロッゲンミッシュブロート Roggenmischbrot:小麦よりライ麦の割合(50~89%)が多いパン。
ロッゲンブロート Roggenbrot:ライ麦90%以上のパン
ライ麦の力強い個性を存分に味わえるパン。食物繊維たっぷり。
小麦とライ麦の割合のほか、以下の穀粒粉の種類にも注目してみましょう。
- フォルコンブロート Vollkornbrot
フォルコンとは全部の穀物という意味で、全粒粉(麦の表皮や胚芽など全てを粉にしたもの)を使用したパンのこと。
50%以上のライ麦全粒粉を使用した場合はロッゲンフォルコンブロート、小麦粉全粒粉の場合はヴァイツェンフォルコンブロートと呼ばれます。
古代から栽培されていたディンケル(スペルト小麦)やカラス麦ほかさまざまな穀物のバリエーションがあります。
- メーアコンブロート Mehrkornbrot
複数の穀粒粉を混ぜあわせたパン。
小麦やライ麦、オートミールなど使われる粉の種類はいろいろ。
組み合わせる数は2、3種類だったり、5種類以上使われることもあります。
種入りのドイツパン

様々な種子や穀物をトッピングして焼いたパンが多いのもドイツらしい特徴。
かぼちゃの種やひまわりの種、からす麦にケシの実、ごまなどバリエーションは豊富です。
最近はスーパーフードとして話題の亜麻仁やチアシード入りのパンも人気。
中にナッツやフルーツが練りこまれているパンもあります。
繊維質やミネラルが豊富で栄養価が高いドイツパンは、それ自体がスーパーフードといえそうですね。
健康的で、かめばかむほど味わいが増すドイツパンは、日本でもますます人気が出そう。
都心だけでなく地方でももっと手軽に買えるようになるといいなあと願っています。
次回からはハード系だけじゃないドイツパンの世界をお伝えしていきたいと思います。
どうぞお楽しみに!