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ドイツパンの種類③ 行事の祝いパン・季節限定のパン

世界一パンの種類が多い国、ドイツ。その数はなんと約3000種類にものぼります。そんなドイツパンの世界をお伝えするシリーズ。ハード系、菓子パン系に続き、今回のテーマは季節限定のパン。イベントやお祭りに食べられる祝いパンや旬のフルーツを使ったパンを紹介します。

これまでの記事はこちら

>>ドイツパンの種類①ハード系 

>>ドイツパンの種類②菓子パン系

カーニバルにクリスマス 季節のパンが豊富なドイツ

キリスト教に関連した祝日やイベントが多いドイツでは、食文化にも行事にまつわる習慣が多く見られます。

なかでも身近なのがパン。

カーニバルやイースター、クリスマスが近づくと、その時期ならではのパンが並び、街を彩ります。

旬のフルーツをたっぷり使ったパンも、季節ごとのお楽しみです。

カーニバル仕様のベルリーナー

カーニバルのために「仮装した」ベルリーナー

ドイツ全国で親しまれている国民的おやつ、ベルリーナー。

今ではパン屋さんやスーパーで一年中買うことができますが、もともとはカーニバルや年末に食べられる祝いパンでした。

ベルリーナーの基本形は、中にジャムが入ったシンプルなドーナツですが、カーニバルの時期になると、ドーナツも仮装して、色とりどりにデコレーションされたものが登場。

中のつめものも、ジャムのほかにチョコレートクリームやアルコール入りのクリームなどバリエーションが増えます。

もともとカーニバル(謝肉祭)は春のイースターまでの断食期間に入る前にたっぷり食べて備えようと始まった風習で、カロリーが高そうな脂っこい揚げ菓子を食べるのが伝統。

一口サイズのふわふわの揚げ菓子「ムッツェン」やアーモンド風味の生地を揚げた「ムッツェンマンデルン」もカーニバルの定番おやつです。

カーニバルはドイツ全土で行われるわけではなく、特に西部ラインラント地方のケルン、デュッセルドルフ、マインツのカーニバル3大都市や、南西部のシュヴァーベン地方で盛んなイベント。

反対にそのほかの地域では、カーニバルって何?という感じのところもあります。

「仮装したベルリーナー」やカーニバルのおやつを食べてみたい人は、「第5の季節」ともいわれるカーニバルシーズンにカーニバル都市を訪ねてみてくださいね。

イースターのパン

イースターの時期に食べられる甘いパン

カーニバルが終わったら、次の一大イベントはイースター。

イースターに欠かせないものといえばイースターエッグや卵型のチョコレートが有名ですが、イースターならではのパン「オースターブロート」もいろいろと登場します。

パン屋さんには、ヘーフェタイク(イースト生地)にレーズンやナッツを練りこんだパンや、編みこみ型のツォプ、丸くて平らな形のオースターフラーデンなどが並び、クリスマス時期にも並ぶほどの華やかさ。

うさぎや羊の形に焼かれたかわいらしいパンやケーキも、この時期の楽しみです。

イースターのシンボル、うさぎの形のパン

季節のフルーツを使ったパン

春の楽しみは苺がてんこもりのパンやケーキ(写真右)

旬の果物をたっぷり使ったパンも楽しみ。

とくに春から夏にかけては、目にも鮮やかなフルーツがのったパンが多く登場します。

春から初夏にかけての苺やルバーブ(ドイツ語でラバーバー)、夏に豊富な様々なベリー類。

そして、夏の終わり頃から秋の初めの風物詩といえば、プルーンの1種、ツヴェッチゲン。

秋の訪れを感じるツヴェッチゲン。パンみたいな素朴なケーキが定番商品

西洋すももとも訳されるこのツヴェッチゲンは酸味の強さが特徴で、パンやケーキにぴったり。

とくに天板で焼いた素朴なケーキは病みつきになるおいしさです。

あっという間に旬が終わってしまうので、みつけたらぜひお試しくださいね。

聖マルティンのヴェックマン

思わず頬がゆるむゆるキャラ、ヴェックマン

11月11日カーニバルシーズンの正式な幕開けの日、そして聖マルティンの日。

ドイツでは子どもたちのランタン行列やガチョウ料理を食べる伝統がありますが、この時期から12月6日の聖ニコラウス~クリスマス頃にかけて登場するパンといえば「ヴェックマン(ベックマン)」。

困っている人々を助けたエピソードで知られる英雄、聖マルティンをモデルにしたという人型の甘いパンで、パイプを加えているのが特徴です。

お店によってサイズや体形は様々ですが、ぽっちゃりめでなんともゆるい感じがたまらなく魅力的。

聖マルティンにあやかって、優しい気持ちになれそうですよね。

クリスマスのシュトレン

東部ドイツ発祥のシュトレン。奥の写真はケシの実とオレンジピール入り

最近は日本でもすっかりおなじみとなったクリスマス菓子シュトレンも、じつはパンの一種。

おくるみに包まれた幼子キリストを表すといわれるクリストシュトレンは、ドライフルーツやナッツ、マジパン、バターたっぷりで、その昔ザクセン公国では、クリスマスに宮廷に献上される特別なお菓子でした。

「ドレスデンのシュトレン」は産地名称が保護されたブランド品で、名乗れるのは材料の比率など規定を守り認定されたものだけ。

そして毎冬クリスマスマーケットの時期には盛大なシュトレン祭りが開催され、巨大なシュトレンが街を練り歩き大いに盛り上がります。

クリスマス菓子が店頭に並び始める時期は年々早くなっていて、最近はスーパーなどでは夏の終わり頃から登場しますが、専門店のシュトレンは冬季限定です。

おいしいシュトレンを食べたい!という人は、冬のドイツをめざしましょう。

こちらの記事もどうぞ

>>シュトレンとシュトーレンの違いとは?

一年を通して、季節ごとに楽しみな食べ物があるっていいものですよね。

ドイツも日本も熱さ厳しい季節ですが、しっかり食べて乗り切りましょう!

著者紹介

坪井由美子

日本では「食」に関する仕事に従事。商品開発やリサーチ、テレビ・ラジオへの情報提供及び出演、執筆などに携わる。テレビ東京『テレビチャンピオン・甘味王選手権』で3度優勝するなど食いしん坊ぶりを発揮。2003年よりドイツに拠点を移しフリーライターとして活動。旅や食文化、最新トレンドなどリアルなドイツ事情を新聞、雑誌、ウェブメディアで発信。 総合情報サイト「オールアバウト」ドイツガイド担当 / ドイツ発フリーペーパー「ドイツ・ニュースダイジェスト」で『食いしん坊のための簡単おいしいレシピ ~Locker! & Lecker!~』連載中/2020年秋『在欧手抜き料理帖』(まほろば社)出版

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