ドイツパンのおいしい食べ方

約3000種類もあるというドイツパンの世界。ハード系のライ麦パンに菓子パン、季節限定のパンなど様々な種類を紹介してきましたが、今回はドイツパンをおいしく食べるコツをご紹介。ドイツの人たちはどのようにパンを食べているのでしょう?知っておくと、ドイツパンがもっとおいしくなりますよ。
これまでの記事はこちら
>>ドイツパンの種類①ハード系
>>ドイツパンの種類②菓子パン系
>>ドイツパンの種類③季節限定のパン
おいしいパン屋さんをみつけよう

ドイツに住んで実感したのは、近くにおいしいベッカライ(パン屋さん)があるとQOL(生活の質)、幸福度が確実に上がるということ。
スーパーやチェーン店のパンも十分おいしいですが、個人経営のパン屋さんの焼き立てパンはやはり格別。
ショーウィンドウにたくさんの種類のパンがぎっしり並べられている光景はまさに眼福です。
ドイツ国内を旅する時は、その地域で人気のパン屋さんをチェックするのが楽しみ。
昔ながらの老舗で伝統的なパン作りを続けながらも、オリジナルのパン作りも積極的にされているお店をみつけると嬉しくなります。
ドイツにはパンの名店が各地にありますし、どんな小さな町にもパン屋さんは欠かせないもの。
たいていみなさん行きつけのパン屋さんがありますから、地元の人におすすめを尋ねてみると、きっと喜んで教えてくれると思いますよ。
バターはたっぷり塗るべし

ドイツでびっくりしたことのひとつが、パンに塗るバターの量の多さ。
バターは薄くのばすものと思っていましたが、ドイツでは、「ぬる」というより厚く「のせる」ような感じです。
ブロートヒェンやカイザーゼンメルなどの小型パンは水平にナイフを入れて半分に切って、大型パンは薄くスライス。
そこにまずバターをたっぷりとぬり、その上にチーズやハムなど好みの具材をのせていただきます。
バターはパンと具材を繋ぐ重要な存在。
とくに酸味のあるライ麦パンは、バターなどの乳製品を合わせることでおいしくなるので欠かすことはできません。

ブレーツェル(プレッツェル)にもバターは付き物で、パン屋さんにはバターをサンドした状態のブレーツェルも売られています。
南ドイツの某ベッカライのものは、バターが主役?というくらい大量に挟まれていてびっくり仰天しました。
こんなにバターが贅沢に使われるのは、ドイツの乳製品が安くておいしいからというのもあると思いますが、最近は物価が上昇しているので、これからはバターの使用量が少なくなっていく可能性があるかもしれませんね。
具材を「のっけて」食べよう

穀物本来の旨みが持ち味のドイツパン。
そのまま食べてもおいしいですが、ドイツではバターをぬり、チーズやハムなどをのっけるのが基本の食べ方です。
酸味とこくのあるライ麦パンは、ビールやワインのおつまみにもぴったり。
ドイツのビアホールやレストランでは、パンと具材の盛り合わせプレートがメニューにあることが多く、とりあえずビールと一緒に頼んだりもします。
自宅で食べる時は、パン自体の味わいの強さ(ライ麦の割合)に比例して、具材も強めのものを合わせるといいでしょう。
おすすめの具材をいくつかあげますので、参考にしてみてください。

・ブロートヒェンやカイザーゼンメルなどシンプルな白パン:チーズ、ハム、トマト、ゆで卵など
・ライ麦と小麦のミッシュブロート:クワルク+ラディッシュ、生ハム、サラミなど※アウフシュニット(※多種多様なスライスソーセージの総称)
・プンパニッケルなど個性の強い黒パン:クリームチーズ+スモークサーモン、レバーヴルスト+ピクルス、ブルーチーズ+はちみつ
ドイツパンの種類も具材も豊富ですから、組み合わせは無限大。
お好みでいろいろ試してみてくださいね。
ドイツパンと日本食材の組み合わせ

意外に思われるかもしれませんが、ドイツパンには日本の食材も合うんですよ。
なかでも、ライ麦パンにチーズ+味噌は相性抜群の組み合わせ。
ほかにも、ポテトサラダ+オイルサーディン、卯の花+ビーツなど、欧州と日本の食材を組み合わせてみると、新しいおいしさを発見できて楽しいです。
パンを小さく切ってカナッペ風にすれば、おもてなしにもぴったりです。
ドイツでは夕食をパンにチーズやハムという、カルテスエッセン(冷たい料理)で済ませるのも一般的。
質素すぎる……と日本人の間でたびたび話題になるカルテスエッセンですが、パンと具材を工夫すれば、むしろ贅沢な食卓になります。
忙しくて料理するのが大変、という人は、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
今回はドイツパンの食べ方についてお伝えしましたが、「おいしい」は人それぞれですし、食べ方にルールは無い、と個人的には思っています。
難しく考えず、自由に楽しんでくださいね!