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【ドイツ語の言い回し】Einen kalten Kaffee soll man nicht aufwärmen.

日本には「お茶」にまつわる言い回しが多いですね。

 

【お茶を濁す(にごす)】茶道の作動をよく知らない人が、明らかにその場しのぎで抹茶を取り繕うように、なんとなく誤魔化したり、はぐらかしたりすること。

 

【茶々を入れる】その場の雰囲気や進行を考慮せず、「休憩してください」と相手にお茶を淹れたり薦めたりして、話の腰を折ったり話の邪魔をする様子を表した言いまわし。単刀直入に言うと「空気」を読まずにアレコレ言う行為のことですね。

 

そしてそして【お茶っぴき】なんて言い回しもあります。これは「お茶を挽く(ひく)」から来ていて、花柳界が発祥だと言われています。当時、茶の葉を挽いて抹茶を作るのが暇のある人の役割だったため「用事がなく、暇である」ことを指す言葉として使われていました。遊女や芸者のあいだで「客がつかず暇な人」が「お茶を挽いた」わけです。今でも「夜の遊び場」である倶楽部やキャバクラ、風俗などで客が入らないと、内輪で「今夜はお茶っぴき」と言うのだそうです。

さてドイツはどちらかというと「コーヒー」の文化です。だからコーヒーに関する言いまわしをよく聞きますね。例えば kalter Kaffee(冷たいコーヒー)という言葉は「既に知られている話で、特に新しい情報がないもの」を指します。使い方としては“Ja, ich weiß. Aber das ist doch kalter Kaffee.“(「知ってます。ただそれはもう古い情報ですよね。」)といった感じです。…日本語に訳す時、決して「知ってます。ただそれは冷たいコーヒーです。」というふうに直訳してはいけません(笑)

 

„Was hier als Neuerung gepriesen wird, ist leider nur kalter Kaffee.“(「ここの情報は新しいこととして褒め称えられているけれど、残念ながら昔からある情報ばかりです。」)という少し長めの文章の場合も・・・日本語に訳すときに「冷たいコーヒー」と訳してはいけません(笑)言い回しは意訳しないと、何の話をしているのか分からなくなってしまいますからね。

ちなみに私のお気に入りはLiebe(愛)に関連するKaffee(コーヒー)の言い回し。例えばこちらです。

 

Einen kalten Kaffee soll man nicht aufwärmen.「冷たいコーヒーを温めることはやめるべし」

これは「終わった恋愛を復活させても何も良いことはない」という意味です。その人との恋愛がうまくいかず関係が「終わった」ことには理由があるわけですから、安易に関係を復活させて「温めなおす」ことはしないほうが良い・・・という意味です。冷えてしまったコーヒーを温めなおして飲んでも美味しくないのと一緒です。

というわけで今からコーヒー飲みます。もちろん「熱々のいれたてコーヒー」です。

皆さん、また来月お会いしましょう。

サンドラ・ヘフェリン

著者紹介

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

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