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【ドイツ語の言い回し】Ich bin mit meinem Latein am Ende.

先日、「座右のラテン語 人生に効く珠玉の名句65」(ヤマザキマリ×ラテン語さん、SB新書)を読みました。

「ラテン語」に触れるなんて、私にとって30年ぶりぐらいです。だから懐かしい気持ちいっぱいでこの本を読みました。本の中でラテン語の格言が数多く紹介されているのですが、個人的に気に入っているのはHoratiusの”Omne tulit punctum qui miscuit utile dulci”(和訳「有益を快楽に混ぜるものが全票を獲得する」)です。非常に現実的だと思います。(「座右のラテン語 人生に効く珠玉の名句65」(ヤマザキマリ×ラテン語さん)の119頁~120頁に詳しい解説が書いてあります。)

でもなんと言ってもこの本の「読みどころ」はヤマザキマリさんがヨーロッパを旅した時の体験の数々です。ヤマザキマリさんが1か月間のヨーロッパ旅行の間にフランスとドイツしか訪れていないこと知ったイタリア人のおじいさんが「イタリアを端折るとは何事だ!」と怒り出し、突然ラテン語で”Omnes viae Romam ducunt!”(和訳「すべての道はローマに通ず」)と叫んだという話(5頁&73頁)には笑いしました。

・・・・そして「ドイツにも、いきなりラテン語のフレーズを言う人、いたなあ」なんてますます懐かしくなりました。

なぜ日常会話にラテン語を混ぜる人がいるのかというと、かつて学問を中心に使われていたラテン語の奥深さもさることながら、「ラテン語ができることをアピールすること」でいわば「自分の知的さをアピールできるから」です。今は廃止されましたが、かつてはドイツで法学や医学を学ぶためにはLatinumという一定のラテン語レベルに達した、という資格が必須でした。今でも大学の専攻の際に「Latinumを必須」としているところもありますが、規定は州によって違います。たとえばバイエルン州だと歴史、音楽、芸術、考古学、神学、哲学、そして一部の言語を専攻する場合などはLatinumを持っていることが必要です。

さて、本題の【ドイツ語の言いまわし】について。

ドイツ語には”Ich bin mit meinem Latein am Ende.”(和訳「私のラテン語はもう限界に達した」)という言い回しがあります。これは「自分の知識を活かして色んな解決法を考えたけど、これ以上もう方法も知恵もない」と途方に暮れた際に発せられる「言い回し」です。

博識な人が発すイメージがありますが、そのイメージを逆手にとって「笑いをとる」のもアリです。私が12歳だった6年生の時、算数の授業で問題が解けなかった同級生の男の子(同じく12歳)が「この算数の問題、何回やっても解けない。Ich bin am Ende mit meinem Latein.“と言っていて、先生も同級生も苦笑いしていました。

私もたま~にこのフレーズ”Ich bin am Ende mit meinem Latein.”を使いますが、やはり自虐的にというか笑いをとる目的で使うことがあります。

今回は「ラテン語」にまつわる【言い回し】をご紹介しました。

それでは皆さん、また来月お会いしましょう。

サンドラ・ヘフェリン

著者紹介

サンドラ・ヘフェリン

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴19年、著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ) 、「ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: ヒラマツオ/KADOKAWA)、「『小顔』ってニホンではホメ言葉なんだ!?~ドイツ人が驚く日本の「日常」~」(原作: サンドラ・ヘフェリン、漫画: 流水りんこ/KKベストセラーズ)」など計11冊。自身が日独ハーフであることから、≪ハーフはナニジン?≫、≪ハーフとバイリンガル教育≫、≪ハーフと日本のいじめ問題≫など「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。ホームページ 「ハーフを考えよう!」 を運営。趣味は時事トピックについてディベートすること、カラオケ、散歩。

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