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AIで病気とたたかう

©IStock
AIが支える診断と治療

ドイツでは製薬企業や研究機関が人工知能(AI)を活用し、より高精度な診断や、新たな治療法の開発に力を注いでいます。

医療は今、変革期にあります。AIの活用により、膨大なデータをこれまで以上に迅速、かつ包括的に解析できるようになり、病気の早期発見や治療法の改善、医薬品開発の効率化が可能になりました。そのためドイツでは、製薬企業、研究機関、病院によって、AI駆動型ソリューションへの重点的な投資が行われています。AIによる医療革命の事例をいくつかご紹介します。

がんの解明に向けて

AIアプリケーションの多くは、がんの転移プロセス等、複雑なデータからパターンを特定することを主な目標として掲げています。ドイツ連邦研究省が支援するプロジェクト「DECIPHER-M」では生体組織分析、画像診断、遺伝情報のデータを統合し、患者ごとの転移リスクを一層高度に予測することを目指しています。
ドレスデン大学のヤーコプ・カーター氏(エルゼ・クレーナー・フレゼニウス財団デジタルヘルス・センター(EKFZ)プロジェクトリーダー)によると「(医療技術の)進歩はみられるものの、がん転移は依然として最大の課題の一つ」であり、がんが体内で転移する前の段階で、それぞれの患者に最適化された治療法を開発することが目標とされています。

乳がん検査のデータ保護

AIは大量のデータを必要としますが、医療データを中央に集約して一元的に保存することが認められない場合も多々あります。そこでEKFZのプロジェクト「ODELIA」が採用したのは「スウォームラーニング(群知能学習)」です。この手法ではデータを元の場所に留めたまま、AIモデルによる共同学習が可能になるため、データプライバシーを脅かすことなく、信頼性の高い乳房MRI解析ができるようになります。国際的な調査の中には、各施設で単独開発されたシステムよりも、共同学習したモデルの方が高い識別精度を示した例があります。

クラウドでスピード診断

開発は産業界でも進んでいます。例えばバイエル社(Bayer)は、放射線科向けに日常業務とAI支援型アプリケーションを直接統合するプラットフォームを開発し、レントゲンやMRIの画像上で、脳卒中や肺炎等の異常所見が自動検出できるようになりました。「医師の負担を軽減し、患者のケアに専念できる環境を整えたい」との願いから開発されたこのプラットフォームは、既にヨーロッパ各国で導入されています。

医薬品開発の加速

新薬の開発から市場投入までには10年以上の歳月を要することも稀ではありませんが、ダルムシュタットの製薬大手メルク(Merck)は、AIプラットフォームを活用することで、このプロセスを4年以内に短縮することを目指しています。この技術により、有望な候補物質の迅速な特定や、化学プロセスのより効率的な計画が実現します。
同社のワリド・メハンナ氏(データ&AIチーフオフィサー)は「AIは生産性を飛躍的に向上させ、優れた新薬を迅速に患者に届けることが可能になります。医学的にもビジネス的にも大きなチャンスです」と述べています。

未来の技術・量子AI

さらに先を見据えているのが、ミュンヒェンのフラウンホーファー・コグニティブ・システム研究所(IKS)のアプローチです。IKSはルートヴィヒ・マクシミリアン大学病院と共同で、量子コンピューティングとAIを組み合わせたハイブリッドシステムの研究を行っています。この技術により、稀少疾患のような比較的少ないデータからでも、信頼性の高い診断を行うことが可能になります。「量子ベイズニューラルネットワーク」と呼ばれるこの手法は、単に診断結果を導き出すだけでなく、その診断の不確実性も考慮に入れます。これは臨床現場での運用において重要な要素であり、研究者からはとりわけ、脳腫瘍の早期発見と経過観察への応用に大きな期待が寄せられています。

credit: deutschland.de
https://www.deutschland.de/de/topic/wirtschaft/pharmaforschung-ki-krankheiten-neue-therapien

著者紹介

大使館スタッフ

ドイツ大使館 広報部の職員による投稿です。 こちらもよろしく! Twitter: @GermanyinJapan Facebook: @GermanyInJapan Website: ドイツ大使館 今週のドイツ語が本になりました!→「ドイツのことば図鑑

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