人口約900人のドイツの村での生活その2
前回に引き続き、私が約5年間過ごしたドイツ南西部にある小さな村についご紹介します。
葡萄畑に囲まれた、自然いっぱいの中での生活をのぞいてみてください。

リスに驚かなくなった私と息子(村で出会える動物たち)
村での生活が始まって、まず驚いたことの一つは、ほぼ毎日、家の周りの木を走り回るリスを見かけることでした。
彼らはとにかくかわいい、そして速い!
初めは見かけるたびに
「あ!リス!(かわいい……)」
と感動していた私ですが、だんだんと慣れ、目の前を走っていてもノーリアクションに(笑)。
息子も同じように、「わー!今リスいたねえ!」といったリアクションは徐々になくなり、リスが庭を走り回るのは当たり前の光景になっていきました。
村での生活はリスだけでなく、鶏、馬、ロバ、カモ、羊、牛など、毎日のようにたくさんの動物に出会いました。
散歩をしているときに見かけた大きな白い鳥。
私:「あの鳥はなんだろ?」
夫:「ああ、Storch(シュトルヒ)だよ。」
その時は「シュトルヒ?へえー」と思っていましたが、帰って調べてみるとコウノトリ!まさか野生のコウノトリに近所で会えるとは思わず驚きました。


村の生活と季節の楽しみ
前回ご紹介したシュルツさんご夫婦(義母の昔からの友人)のとても広い庭。
夏になると庭に
・Johannisbeeren(ヨハネスベーレン/赤スグリ)
・himbeeren(ヒンベーレン/ヨーロッパキイチゴ)
・blaubeeren(ブラウベーレン/ブルーベリー)
など、たくさんの実がなります。
よく息子たちは奥さんと一緒に、摘みながら食べさせてもらっていました。

秋には、庭にできたリンゴを一緒に収穫し、たくさんいただいていました。採れたリンゴは籠の中へ。
今思えば絵本の中のような光景です。

さらに、秋になると、普段村では見かけない人をちらほら見るように。
何をしているのかと思ったら、みなさんあちらこちらに落ちている胡桃を拾っています。
私も散歩をしながら、息子たちと一緒にたくさんの胡桃をバケツに集め、乾燥させ、義母の家でくるみ割り器を使ってバキバキと割って食べるのが毎年恒例でした。
毎年恒例の落ち葉掃除。
家の前、あたり一面がオレンジ色になり、家族や大家さんとみんなで大量の落ち葉を拾うだけなのですが、その時間がなんとも平和で、毎年ひそかに楽しみにしていました。


そして暗くて、長ーい冬。
私が住んでいた村では冬になると数回雪が積もり、子どもたちは大喜び。
ドイツでは雪が積もると、子どもたちは仰向けになって雪の上に寝っ転がり、
「Engelchen〜!(エンゲルヒェン〜!)」
と言いながら手足をバタバタとさせ、雪に小さな天使を描きます。これがドイツの雪遊びの定番。

もしドイツで雪の日にこのような模様を見かけたら、それは「小さな天使」です。
(Engelchen=小さな天使)

村の生活と子どもたち
村で生活をしていると、ほぼ毎日目にするトラクター。
長男が初めて覚えた言葉の一つが「トラートラー(トラクター)」でした。
当初ドイツ語が話せなかった私も、
Traktor(トラクター)
Anhänger(トレーラー)
Schubkarre(一輪台車)
など、村での重要単語はすぐに覚えることができました(笑)。

息子と同じクラスの子は、お父さんが運転するトラクターに乗って登園することも。初めてみた時はさすがに少し驚きました。
幼稚園では「クラスの〇〇ちゃんのお家のジャガイモ畑でじゃがいも掘り」という日もあり、
その子のお父さんの指導のもと、子どもたちは楽しそうにジャガイモを掘り、いくつか家に持って帰らせてもらっていました。

今は少し変わっているかもしれませんが、当時息子が通っていた村の小さな幼稚園の園庭。特別広くはありませんが、土と木に囲まれ、子どもたちが隠れることのできる場所もたくさん。

信号、横断歩道、踏切に興奮する息子たち
村には横断歩道も信号もありません。
息子たちはイマジネーションを働かせて、そこに横断歩道や信号がある設定で横断歩道ごっこをしたり、1時間に一本しか来ないバス停でバスを待つ遊びをすることもありました。
都会に住む子どもたちには、きっとなかなか想像できない遊び・・・(笑)。
たまに車で街に出ると、たくさんの車、信号、踏切、電車に息子たちは大興奮。
コロナ禍で時間を持て余していた時には、踏切を見るだけのために車で15分先の街まで行き、車を停めて電車が来るのをひたすら待ったこともありました。

村での生活のご紹介、次回が最後です。
