Megavalanche 2026
2026年メガバランシュ、女子はドイツ人ラファエラ・リヒターが優勝
メガバランシュとは:歴史とコース概要

メガバランシュ(Mégavalanche、通称「メガ」)は、フランス・アルプス地方のアルプデュエズを舞台に1995年から毎年開催されているマスタート形式のダウンヒル/エンデューロレース。
創設者はダウンヒルコース設計の先駆者として知られるジョージ・エドワーズ(George Edwards)で、彼が率いる運営会社UCC Sport Eventが今も大会を主催している。
第1回大会は参加者約400名、優勝はフランス人フランソワ・ドラだった。以後30年近くにわたり開催が続き、歴代最多優勝はレミ・アブサロン(フランス)である。
コースはフランスアルプスのPic Blanc(ピック・ブラン)山頂、標高3,330mの氷河上からスタートし、谷底のアルモン村までを一気に下る。
標高差は約2,600m、コース総延長は約20kmに及ぶ。序盤は雪渓・氷河区間で、その後岩場、ゲレンデの砂利道、森林のシングルトラックへと地形が目まぐるしく変化するのが最大の特徴。
本戦の所要タイムはトップ層で40分台から1時間以上までばらつくが、1時間を切ると早いライダーとされる。
大会は複数日程で構成され、コース試走日(プラクティスデー)、予選(クオリフィケーション)、そして本戦の決勝マスタートという流れが定着している。
予選上位者から順に決勝のスタート位置(列)が決まる仕組みで、スタート位置の運も結果を大きく左右する。
体感ですが、本戦はみんなお祭り気分なのに対して、予選はガチモード。
遅いと後ろから叫ばれるし、なんか雰囲気もピリッとしてる気がします。
もともとレース自体が「エンデューロ」という競技概念が確立する前の1995年に始まった大会であり、耐久力とダウンヒル技術の両方を問う先駆的なフォーマットとして、後のエンデューロ系レース群に影響を与えたとされる。
近年は参加者が世界40カ国以上から集まる規模となっており、2026年大会も参加上限1,500名規模で7月10日〜12日の日程で開催された。
大会の様子
2019年にマウンテンバイクを初めて、偶然動画で見たこのレースに衝撃を受けて初めて出場したレースが2020年のMegavalancheな私です。
それからというもの、このイベントの中毒性にどっぷり浸かってしまい、ほぼ毎年休暇を使って出場して2026年は多分5回目です。
ドイツから車で8時間ほどかかる距離ですが、MTB好きなら時間とお金を使っていく価値があるイベントだと自信を持って言えます。
みんな同じことが好きな人たちのお祭りなので、雰囲気も相まって言葉が伝わらなくてもすぐに仲良くなれますし、クラッシュした時には1人は後続への警告、1人は倒れてるライダーのケア、1人はコースの安全の確保、と謎の連携で助けてくれます。
初めて2020年に出場したときは何もわからなくて雰囲気に呑まれそうなところに声をかけてくれて一緒に練習してくれた、フランス人のミシェルとも毎年会って一緒に練習してます。
ミシェルは年代別で表彰台に上がる程の実力の持ち主で、一緒に走るとすごくいいトレーニングになるのでかなり重宝します。
英語はちょっとしかしか話せない彼ですが(私はフランス語全く話せません)マジで適当なコミュニケーションでやっていけてます。
このミシェルとも今年は偶然予選の組が一緒でした。


2026年の私の予選グループは2組目で、百人中35位までに入ると一番早い人たちが集まる本戦の組に配置されるので、それが目標の私は力が入ってしまい、いつもと違うラインを選んで転倒。
真ん中のチャレンジャークラスでのスタートになってしまいました。
本戦では前日の雨で雪がグッチョグチョになっていて、前半の雪の区間はほぼ自転車を押していたのでメンタルがやられてしまい1時間20分くらいで完走。
これも目標の1時間切りには届かず、悔しい結果となってしまいました。
思えば初日にホイールが割れてしまったり、転倒してヘルメットが壊れたりと、なんか嫌な感じだなーと終始思っていて、心にブレーキがかかっていたのかもしれません。



2026年大会の結果
今年は直前に大雨が降った影響で、山頂の雪がベチャベチャになってしまい、練習ではうまく乗れてたはずがかなりの区間を自転車を押して走る羽目に。
条件はみんな同じなはずなのに、これを毎年40分でゴールするトップ層は次元が違います。
男子エリートはユゴー・ピジョン(Hugo Pigeon、フランス)が41:38でフィニッシュし、4年連続優勝を達成。2位はオリヴィエ・ブリュイエール(+1:10)、3位マエル・フェロン(+1:18)、4位キリアン・ブロン(+1:50)、5位エムリック・イエンザー(+1:56)という結果だった。
女子エリートでは、ドイツのラファエラ・リヒター(Raphaela Richter)が57:57で優勝。2位ローラ・シモナン(+1:17)、3位ローラ・シャルル(+1:46)を大きく引き離しての勝利だった。4位セシル・ドレール(+3:15)、5位モルガンヌ・ジョニエ(+3:20)と続いている。
女子優勝:ラファエラ・リヒターとドイツMTBシーン

リヒターは1997年生まれ、バイロイト近郊のエッカースドルフ出身。5歳でMTBを始め、2016〜2022年にかけて通算6回以上ドイツ・エンデューロ選手権を制したほか、ダウンヒル・フォークロスでもドイツ王者に輝いた実績を持つ、ドイツ国内では屈指のグラビティ系ライダーである。
キャリアの特徴は「プライベーター」としての活動が長いこと。
いくつかのチームを渡り歩いた後、2025年からはテューリンゲン州ルドルシュタットを拠点とするドイツのローカルブランドCrossworxの契約ライダーとなっている。
このメーカーは地元産の部品を積極的に採用する「Choose Local」路線を公言しており、ドイツ国内の小規模メーカーと組む姿勢でも知られる。
本業はエンデューロワールドカップ(EWS、現UCI Mountain Bike World Series)のレーサーで、2026年シーズンで参戦8年目のベテラン。過去に肩の怪我に苦しんだ時期もあったが、オフシーズンに手術を受けて復調しており、今回のメガバランシュ優勝はそうした背景を踏まえても価値のある結果と言える。
ドイツとメガバランシュの接点
メガバランシュ自体はフランス・アルプデュエズが本拠地の大会だが、ドイツ人ライダーとの関わりは深い。
- ドイツは南部(バイエルン州など)を中心にアルプス山系に近く、グラビティ系MTBの競技人口が比較的多い。ドイツ・エンデューロ選手権やダウンヒル選手権のトップ選手が、シーズン中にメガバランシュへ「腕試し」的に参戦するケースは珍しくない。
- 今回優勝したリヒターが所属するCrossworxのように、ドイツにはローカル生産にこだわる小規模MTBブランドが複数存在し、こうしたブランドがEWSやメガバランシュ級のレースにライダーを送り込む構図が定着しつつある。
- ドイツのMTBメディア(MTB-News.deなど)は例年メガバランシュの結果を速報しており、国内のグラビティシーンにとって関心の高いイベントであることがうかがえる。
まとめ
2026年のメガバランシュは、男子はフランスのユゴー・ピジョンの4連覇という「常勝」の物語に注目が集まりがちだが、女子部門でのラファエラ・リヒターの優勝は、ドイツの下り系MTBシーンの層の厚さを示す結果と言えます。
プロチームに依存しないやり方や、ドイツの地元産のパーツを使った自転車での優勝は、ドイツらしい勝ち方だなーと思いました。
余談ですが、ユーゴ選手とは前の週のエンデューロレースで会う機会があって、日本に行ったことや、今回の休暇について話しました。
Megavalancheについて話したところ、何回も優勝してるのにそれを全く自慢しないところにびっくり。
話した感じの印象はとても紳士的で人見知りな感じで、乗ってる姿とのギャップがすごかった。
レースが終わった時はもういいや!と思うのですが、帰り道には次に向けてのパーツ選びや練習を考えてるので、また来年も出場しよ。