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大雨の日、突然黒の革ジャンを着て訪れたのは?-ドイツの村での生活- その3


ドイツの南西部にある小さな村での生活、今回で最後です。

ここでは、印象的だった出来事や、お世話になったひとたちについてご紹介します。

黒の革ジャンを着た市長の突然の訪問

ある大雨の日、私と長男(当時3ヶ月)は家でまったりと遊んでいました。夕方になり外はすでに真っ暗。

コンコンコン。

「あれ?鍵忘れたのかな?」

誰かがドアを叩くので、鍵を忘れた夫が仕事から帰ってきたと思い、長男を抱っこしてドアを開けました(ドアスコープがついていないタイプ)。

すると目の前に立っていたのは小さな花束を持ち、黒の革ジャンを着た、少し雨に濡れた背の高い男性。

「ハロー!!☆◻︎△◯☆△◯〜〜〜〜〜(ドイツ語)!!!」

と、私が警戒する間もなく、男性は私に花束を渡し、元気いっぱいにドイツ語で何かを説明してくれました。

しかし、当時の私のドイツ語能力は皆無。

「ハロー」しか聞き取れず、時々「や、ヤー…(はい)」と言いながら立ち尽くしていました。話が終わると満面の笑みで「チュース!!(ではまた!)」と、傘を差し、颯爽と立ち去る男性・・・。 

よ・・・よかった。悪い人じゃなかった・・・。

少しして、仕事から帰ってきた夫に一連の出来事を報告すると、どうやらあの男性はなんと市長

実は近所に住んでいて、出産祝いとして花束と何かのクーポン券を持ってきてくれた市長。彼は、村で赤ちゃんが生まれたお家を訪問し、クーポンと花束を渡しているそうです。でも、わざわざあんな大雨の日の夜に来なくても….(笑)。

知らない人が私のことを知っている

長男が1歳になる頃、歩いて10分ほどの公園で遊んでいると、ベンチに座っていた感じの良い中年の女性に話しかけられました。

「ハロー。もしかして、OOさんのところの奥さんかしら?」
「はい、そうです」
「あらーやっぱり、息子さん可愛いわねえ。いつからドイツに来たの?」

と、そこから何分か雑談をしたのですが、私が彼女と話すのは初めて。

村のコミュニティ恐るべし。

小さな村なので、アジア人がいるのは珍しく、私が切迫早産で入院した時も、お見舞いに来た夫に「もう村の半分が君が入院していることを知っているよ(笑)。」と冗談で言われました。
それが冗談だったのか、本当だったのかは、いまだにわかりません。

Irmaとのクッキー作り

Irma(イルマ)はうちから徒歩10分のところに住んでいるおばあちゃん。旦那さんのKarl(カール)と二人暮らしをしています。二人とも夫のことを小さい頃から知っていて、息子たちのことも本当の孫のように可愛がってくれました。

よく息子たちを連れて遊びに行き、飼っている鶏やアヒルを見せてもらったり、ドイツ語がわからない私にも、二人ともいつも優しく接してくれました。

Irmaと私が毎年恒例でやっていたことがあります。
それはクリスマスのクッキー作り
ドイツでは、クリスマスシーズンになると家庭でたくさんのクッキーを焼く習慣があります。
焼き上がったクッキーは缶に詰め、長く保存しながら少しずつ楽しみます。

お菓子作りが上手なIrma。
毎年、クッキー作りに誘ってくれて、一緒に作っていました。


私は移住してすぐの頃、ドイツ語が全く話せなかったので、Irmaとの初めてのクッキー作りは二人ともほぼ無言もしくはジェスチャー(笑)。少しずつドイツ語がわかるようになってきて、Irmaとのクッキー作りもさらに楽しくなりました。日本に引っ越してからも、クリスマスシーズンになるとIrmaのクッキーが恋しくなります。

すっかり大きくなった息子たちを連れて、また会いに行きたいです。

シュルツさんご夫婦

前々回で、ご紹介したシュルツさんご夫婦。
旦那さんが昔、アトリエ兼職場兼ゲストハウスとして使っていた離れの家を借りて住んでいました。

シュルツさんご夫婦も、夫が赤ちゃんの頃から知っている、義母の付き合いのとても長い友人。

奥さんのInga(インガ)は、隣の村の診療所で働いていたお医者さん。
旦那さんのJörg(ヨーク)は、料理がとても好きで、時々招待してもらう料理はどれもレストランのようでした…。
そして白ワインが美味しい!

ある日、長男がお腹にいる頃、シュルツさんのお家でヨークさんと一緒に料理を作っていました。

バターーーーーーーン!!!!

突然視界が真っ暗になり、床に倒れた私。

目を開けると、ソファで横になっていました。どうやら貧血で意識を失ってしまったようです。
インガさんが血圧を測ってくれて、その後回復。幸いヨークさんも私も火傷などしなくて本当によかった・・・。

長男が生まれてすぐの頃、夫は出張がとても多く、金土日しか家に帰れなかったこともしばしば。小さな家で息子と二人。特に新生児の頃には、夜中一人で授乳をしたり、ちゃんと息をしているか不安で何度も確認したり、心細いときもありました。初めての子育てで、手探り状態だった私にとって「何かあればインガさんに診てもらえる」という安心感は当時の私にとって大きな支えとなっていました。

すぐ目の前に住んでいるシュルツさんご夫婦と、近くに住んでいる義理の母がいなければあの頃は乗り越えられなかっただろうなと思います。

優しく、とっても素敵なお二人。

一緒にベビーカーを押しながらお散歩したり、市場に行ったり、美術館に行ったり…。
村での生活の間、お二人には本当にお世話になりました。

3回に分けて、葡萄畑に囲まれたドイツの村での生活をご紹介しました。
夫の故郷でもあり、息子たちが生まれ、幼少期を過ごしたたくさんの思い出が詰まっている場所です。

ドイツの美味しいワインが飲みたいという方は、ぜひ南西地方を訪れてみてください。

著者紹介

tomomi

イラストレーター。広島県出身。現在は南ドイツの小さな町在住。ドイツ人夫との結婚を機にドイツ語ゼロの状態で2017年に移住。ドイツで出産を経験し、2歳と4歳の男の子の育児に奮闘中。Instagramではドイツ語での日常会話や、日々の出来事をゆるいイラストと共に紹介しています。

Instagram : https://www.instagram.com/tomomi.ger/

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